東京U 磨いてきた球際、運動量、切り替えで南葛に劇的勝利
写真:勝利を喜ぶ東京ユナイテッドの選手たち。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:南葛SC 2-3 東京ユナイテッド>
まさに死闘。関東サッカーリーグ1部の上位2強、南葛SCと東京ユナイテッドFCが対決した“天王山”は白熱したシーソーゲームとなり、奥戸に集まった2,355人の大観衆からは何度もどよめきが漏れた。開始早々の前半2分に南葛MF佐々木のパスをユナイテッドDF弓氣田がカット、5人が連動してのカウンターは背後に抜け出した松久保が最後に決めて成立させた。その後は南葛が追いつき、ユナイテッドが突き放し、再び南葛が追いつき2-2のスコアで終盤へ。そして後半45分、途中出場したユナイテッドの室崎が決勝ゴールを決めるという劇的な幕切れで、ユナイテッドが南葛に勝点4差をつける結果となった。
振り返ると、ユナイテッドが先制点を挙げたことで南葛が覚醒。反攻に転じて得点を挙げるが、同時にユナイテッドもその力を利用して得点するという試合展開。ユナイテッドが南葛の強さを引き出し、南葛の強さゆえにユナイテッドのリアクションも鋭さを増して最後の決勝点につながったと考えると、やはり最初の先制点が重要。相手2センターバックの間を割るようにして前に出た松久保の動きは圧巻だった。
「今シーズンは立ち上がりが悪い試合が何回かあり、前期のVONDS戦もそうだが、立ち上がりがいい時は自分たちが勝っている。立ち上がりからしっかりウラをとって、相手の嫌なことをしていこうと考えていた。そうしてウラを狙った時に滝沢からいいボールが来たので、あとはキーパーとの1対1で流し込むだけだった」(松久保)
この先制点だけでなく、2点目、3点目も、ユナイテッドのゴールはすべて、南葛の選手たちが挽回出来ないほどに、ボールを奪ったあとの切り替えが素早かった。「切り替え5秒と、普段の練習から、監督から檄も飛んでいて、それがいまやっと、当たり前になっている」と、松久保。ユナイテッドの福田監督は「運がよかった」と勝因を語ったが、そうだったとしても、その運を引き寄せたのは彼らが持つ地力。日頃の積み重ねが土壇場にあらわれたということなのではないか。
「ぼくは、球際と運動量と切り替えしか練習をさせていない。それ以外にぼくらには勝つ術がないから。そのために、信じられないくらいシャトルランを走っている。今節も試合前から『第15回シャトルラン大会』と言っていた」(福田監督)
第15節を15回目のシャトルラン大会と表現していたそうだが──と水を向けると、松久保は笑いを堪えきれずに漏らしたあと次のように語った。
「合宿もそうだが、ひたすら走って、練習試合して走ってと、異常なほど走らされた。そうした日頃の練習があるから、同じ走るにしても気持ち的には試合のほうが楽しく、試合で走れるようになってきたのかなと思う」
ただ、そこまでしても2-2に追いつかれた時点では南葛に上回られそうな状態になっていたことは確かだ。飲水タイムで南葛の攻勢が一度止まった感はなくもなかったが、終盤に投入されたFW大前はすぐさまゴール前でいいボールを受けられる位置に2度、3度と入り、危険なシーンを演出していた。その流れに抗えたのは、得点を意識した福田監督の決断があったからだ。
「追いつかれた時に守備のカードを切って2-2でクローズするか、3点目を獲りに行くか、ベンチですごく悩んだ。だけどピッチ上の選手たちが前に行こうという意識を持ち続けていたから闘えるなと思って、守備が出来ない室崎と瀬川を入れた」(福田監督)
強者、南葛を下して一歩リード。全社出場を果たせずリーグ優勝のみが地域CLへの道となっているユナイテッドにとっては貴重な勝利だが、喜びと安堵も束の間。次節からも難敵との対戦がつづく。「今シーズンは1点差で勝つ試合が多く、1試合1試合同じ気持ちで臨んでいる。今日勝ったからといって気は抜けない。来週もVONDSとの試合があり、もうチームはそっちに矢印を向けているので、そういった切り替えが出来ることが、今年のよさを象徴していると思う」と、松久保。心臓破りの坂のようなラスト3試合を登った先に、念願のリーグ優勝がある。
(後藤勝)
・【ハイライト】南葛SC 2-3 東京ユナイテッド
・途中出場の室崎、華麗な決勝点
・東京Uが首位攻防戦制す 南葛に3-2勝利
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