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写真:ホーム最終戦で勝利を喜ぶ東京ユナイテッド。

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駆けつけた長倉幹樹の前で福田采配ズバリ

写真:ホーム最終戦で勝利を喜ぶ東京ユナイテッド。

MATCH REPORT後藤 勝

<関東1部:東京ユナイテッド 1-0 東京23FC>

決勝点を引き出した決断

関東サッカーリーグ1部第17節は上位2強の結果に人々の耳目が集まった。1位の東京ユナイテッドFCは東京23FCを相手に1-0の勝利。一方、2位の南葛SCと流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎の一戦は、後半31分に流経大が先制点を挙げ、一時はユナイテッドが今節で優勝する可能性があった。しかし南葛は後半39分、45分と連続得点で逆転。ユナイテッド初戴冠の瞬間は、20分も経たずに遠のいた。

「よく勝ったなと思う一方で、やっぱり甘くないなと思った。次に向けて準備しようと思う」

福田監督はこう語った。灰になるまで走り、燃えかすとなってもなお最後まで走るような死に物ぐるいの戦い方は勝利によって報われたが、優勝にまでは届かなかった。甘くないという想いは今節だけではない。わずか1敗で迎えた前節VONDS市原戦は1-0での敗戦。その反省が今節に活きた。

東京U、優勝へ足踏み VONDSに完敗

「先週、VONDSにぶん殴られて、やっぱり甘くねえんだ、と。ぼくらは120パーセント出して勝ち切れるチームだということをあらためて認識させられた、今日はもう行くしかなかったから行った。とにかく行った。でも、よくやったんじゃないですかね。自分たちは下手くそだからこういう勝ち方しか出来ない。1本を決めるクオリティがないから、何回もゴールに襲いかかる。その分走らなきゃいけなくて、もう最初からそれがぼくらの戦術だから」

確かにその姿勢が根本的な勝因ではある。しかしそのメンタルを活かすための、戦術の範囲での工夫もこの試合にはあった。戦術が補助輪として、はやる気持ちを支えていた。

「嵌まっていないなとか、こうした方が嵌まるんじゃないかというのは、意外とぼくらは冷静に見ている。前で人数を揃えた方が良くないか、後ろも同数になるけれども、そっちのほうがいいんじゃないかと、選手たちとハーフタイムに話した。両サイドに関しても1対1の方がわかりやすいだろうと思ったんで、もうマッチアップしろということで、対面する相手を決めた」

監督、スタッフと選手が対等に話し、各々がやりたいことをベンチや控室ですり合わせていく土壌がある。今節のハーフタイムの修正も全員が納得して後半に臨み、そこに迷いはいっさい感じられなかった。

試合中の采配にも勝負勘が働き、勇気ある決断を下しての、後半21分にFW松久保が挙げた決勝点だった。

「ストライカーはひとつ歯車がくるうと、もうその日はダメじゃないですか。PKを外した時点で『今日は松久保の日じゃない』と思って、替えようかと思い、でもギリギリまで引っ張った。替えようかと思った時に決めたから、彼にも意地があったのだろうと。もうワンプレーで替えようと思っていたから、たいしたものだとあらためて思った」

選手交代の準備はしていたが、松久保の交代はその時点で取りやめた。同様に決断を求められる瞬間はハーフタイムにもあった。先発の10番MF伊藤のプレーが悪かったわけではない。しかし4-4-2から3-4-3に変えて前の枚数を増やして点を獲りに行く時、よりフォワード的でゴールに流し込むことに関しては長けているMF室崎を投入する上で、伊藤を交代の対象にした。そこで、もったいないから伊藤を温存しながら室崎をも起用したいと考えると、戦術変更の狙いにそぐわなくなる。

福田監督が後半開始からあと10分プレーするかと伊藤に訊ねると「あと10分引っ張るんだったら今替えてください。ムロ(室崎)にその時間を与えてほしい」という答えが返ってきた。福田監督の腹はこれで決まった。自分が試合に出たいということよりも、全体のことを考えての申し出が選手からある辺りにも、今シーズンのチームとしての成長が感じられる。

優勝に向かい大きな一歩となる全員で掴んだ勝利のあと、会場の赤羽は二重の喜びに包まれた。かつてユナイテッドで活躍し、現在はFC東京でプレーする長倉幹樹がピッチに姿をあらわしたからだ。事前に「ホーム最終戦だから来てくれよ」と福田監督が連絡をとると、長倉は喜んで承諾していたという。福田監督は「彼のJ1での活躍が励みになっている」と長倉を会場全体に紹介し、スタンドのファンと全員で記念撮影をした。長倉はかつてのチームメイトたち、そして福田監督と旧交を温めた。長倉の表情には、実家に帰ってきた子どものようなリラックスしたものがにじんでいた。

【写真】応援に駆けつけたFC東京のFW長倉。

「みんな週1回、週2回しか練習出来ない。それでも自分たちにはサッカーしかないと思っている。ぼくもそうだけれども、サッカーにかけられる時間をつくるには、睡眠時間を削るかプライベートを削るしかない。そこまで研ぎ澄まして研ぎ澄まして、でもサッカーから離れられない、そこを離れたら自分じゃなくなるということを、モトキ(長倉)はほんの数カ月だけど、体感してくれたのはすごく嬉しいと思っている」

ユナイテッドのイズムを吸収した長倉のトップカテゴリーでの活躍によって、福田監督以下、ユナイテッドの人々は自分たちが取り組んできたことは間違いではなかったと確信出来ている。長倉にも共通する、タイムアップの笛が鳴るまで全力でプレーする姿勢が、この日の勝利をもたらしていた。
(後藤勝)

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