土屋NossA有終の美 劇的逆転勝利 東京2部
写真:アディショナルタイムに逆転ゴールを奪うNossAの佐川。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京2部1B:LLENO Tokyo 2-3 NossA八王子>
11月23日、東京都社会人サッカーリーグ2部1ブロックの1位LLENO Tokyoと3位FC NossA八王子が最終節で直接対決。前半、LLENOは9番FW加藤の2得点でリードしたが、後半は積極的な選手交代で先手を取ったNossAが次々にゴールを重ね、最後は後半アディショナルタイムにMF佐川が決め、2-3のスコアで勝利を飾った。劇的な展開で、今シーズン限りでの退任が決まっている土屋監督最後の試合に花を添えた。
前半キックオフから約20分間は互いに切り替えがすばやく、前進のスピードも最高度で、きわめて強度が高いゲーム内容。優劣つけがたい熱戦だったが、前からのプレッシャーが強烈だったLLENOが力押しで相手陣に攻め入る形でエース加藤が2得点。リードを許したNossAは左サイドMF松岡の推進力も活かしながらゴールを狙うが得点には至らず、2点差のままハーフタイムへ。しかし後半はメンバーとやり方を変えたNossAがLLENOのプレスに嵌まらなくなり、次第にオープンなゲームに。最後は疲労もあるのか強度が落ち守勢に回ったLLENOがうしろを向かされる状況となり、逆に勢いが止まらなかったNossAは後半37分のPKも含む3得点。最終節の勝利で順位を2位に上げ、シーズンを終えることとなった。
この勝ち方は土屋監督にとっても感慨深いものとなった。最後だから、というだけではない。
「ウチは小さい選手、細い選手がちょっと多い。身体がしっかりしたチームやダイナミックにサッカーをしてくるチームに弱いところがあり、そこをどうにか剥がしていこうとしていたが、難しい部分もある。でも最後にこうやって、強いチームであるLLENOさんに対して前半はうまくいかなかったが、最後まで魂込めてやってくれて、逆転して勝てた。それは選手にとってもポジティブなものになっただろうし、こういうことがサッカーをやっていて一番嬉しい瞬間。だから、すごくいい試合だったと思う」
2021年にゼロから始め、クラブ、そしてチームの成長に尽力してきた土屋監督。4部からスタートして2部で2年連続2位と、1部まであと少しという結果もさることながら、弱点を克服しての逆転勝利に、ひとつの区切りが見えるかのようだった。
継続的に成長し、ベースを築いていくことは容易ではない。「選手にどれだけ来てもらえるか。仕事をしている状態で精神的にどう試合に持っていくかというのは、社会人をやっていて相当難しかったこと。それはもうプロの選手とは違う、全く別物なので、かける言葉をとってもなかなか難しかった」と、土屋監督。社会人の環境で右肩上がりの歴史を築けたのは、半ば奇跡のようなものなのかもしれない。
選手が明日に向かっていくには、めざす方向を明確にすること。NossAの場合、社会人のクラブでありながら、スタイルは明確にあった。それは土屋監督が現役時代に培ってきたものから抽出されたものでもある。その目標に向かうなかで、自ずと選手のモチベーションが保たれていた。
「ボールを握ることはヴェルディでやってきたし、甲府でJ1に行った時には握られるなかでどう守備をしながらカウンターを打つかということを模索した。いろいろなサッカーを経験してきた、それをみんなと話し合いながらやろうとしたけれども、難しくて。ミーティングを出来ない、全員いっしょに練習を出来ないとか、紅白戦が人数的に出来ないとなると、みんなで分かり合える部分が少なくなる。だから、ぼくは練習試合をめちゃくちゃ組んでいる。1年目から1年間で多分40試合。公式戦を含めて50試合やってきて、そのなかでぼくだけの意見じゃなくて選手の意見も取り入れながら、やりやすいものを選んで。今回の試合の前日に言ったのは『もっといっしょの時間を過ごしたかった』ということ。もっともっとグラウンドでいろいろな話が出来たら良かったかなと、話していた」
絶え間ないサッカー漬けの充実した日々も、5年間で一区切り。一番いい状態で辞める土屋監督は、これからいろいろな指導者に出会い、眼も耳も肥やしたいという。土屋監督そしてNossAは、それぞれ一層の飛躍を誓い、別れの日を迎えた。
(後藤勝)
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