東京U 福田監督「優勝するための基準を知れた」一問一答
写真:東京ユナイテッド・福田監督。
28日の関東1部最終節で東京ユナイテッドは流経大ドラゴンズに2-1で競り勝ち、リーグ初制覇を果たした。チームを率いた福田監督は試合後に優勝の要因について、また11月に行われるJFL参入戦(全国地域CL)に向けての意気込みを語った。
「俺たちは強くない」と言い続けた
── 関東1部というリーグで初優勝した。その要因は。
「うちのチームには突出した選手がいない。ただその分、結束力がある。それだけだと思う。去年と比較すると、抜けた選手の方が多くて、ほとんど補強も出来ないまま戦った。僕はよく彼らに〝厳選あずき〟って言っていて、みんな粒が揃ってる、粒が揃ってるからギュッと締まると水は漏れない。そこにひとつでも大きな粒があると水は漏れてしまう。そういう意味で今年は粒ぞろいでありながらもハードワーカーたちが揃って戦えた。それだけのことだと思う。でもこれで全国の強豪、屈強なチームに勝てるかどうかはわからない」
── 今季は連勝を続けながらも途中南葛に負けたり、リーグ終盤にはVONDSにも敗れた。そういった時に選手、チームにはどんな言葉を投げかけてきたか。
「『俺たちは強くない』という言葉だけ。僕らは個の能力的にはまったく秀でていないから。ただ、強い相手に対しても3回に1回、5回に1回は勝てる力があるので、どうやってその1回を引き出すか。そのための準備、そのための気持ちの作り方、その試合でどうやって120%の力を発揮するか。『全員が120%の力を出せれば勝てない相手ではない』ということを言い続けてきた」
── 実際選手たちはその都度、もう一度立て直してきた。
「よく立て直してきたと思う。常に厳しいトレーニングを課してきたし、過去にないくらいのトレーニングを課した。本当にしんどかったと思うが、自分たちは決して強い集団じゃないということを認識したうえで、トレーニングの時からハードワークを徹底してくれた」

優勝の価値は優勝するための基準を知れたこと
── 関東リーグで初めて優勝、チャンピオンになった。クラブにとってどんな価値をもたらすか。
「初めての優勝、前人未到のことなのでね。優勝するにはこんなにもしんどく、ここまでやらなくては優勝できないんだという基準がわかった。僕自身も過去にないくらい自分の人生というか、命をすり減らしながらやったから、もう一度やれと言われたら自信がないかもしれない。それくらいすり減らした。でも逆にこのリーグで勝つにはここまでやらなきゃいけないんだってことも身を持ってわかった。これがクラブの基準になっていくと思う。このリーグで勝つにはこれだけのハードワークが必要、最低限このレベルの選手たちが必要、最低限このトレーニングが必要。それを知れたことはクラブにとって大きい」
── アマチュア選手たちで優勝を成し遂げたことにも価値がある。
「そこは僕らのこだわりだったから。関東リーグに昇格して10年目。色々とやってきたけど、やっぱり僕らの存在価値というのは何者にもなれなかった選手たちに、何かを見つけさせること。それがクラブのアイデンティティだと思う。そこに改めて気付いた。だからこそ、そういう選手で戦ってきたし、そういう選手を鍛え抜いてここまでやり遂げた。僕らがやっていたことはクラブにとっても間違っていなかった、そう思える非常に大事な結果になったと思う」
── 次は初のJFL参入戦・全国地域CLに臨む。
「やることを変えることは何一つないが、僕は昨日も最終戦に出れないメンバー外の選手たちを徹底的に追い込んだ。それは地域CLで戦うために。『お前らは明日の試合じゃなくて、今ここで戦え』ということを言い続けた。それを信じて付いてきてくれた選手たちをもう一回、同じ土俵に乗せて戦わせるために。ここから伸びる選手もいる、それにケガ人が出るかもしれない、何が起こるかわからない。全員でもう一度チームの結束力を高め、一人ひとりの闘争心を掻き立てて、戦う集団を作っていく。より研ぎ澄ませていく。それで結果がどう出るかというだけのこと」
── 客観的に地域CLにおける自分たちの立ち位置はどう見ているか。
「ちょうど中の中くらい。勝てなくはないと思っている。ここから心と身体もしっかり準備していきたい」
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