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ピッチの余白
後藤 勝|# 03
日立台開催に見る可能性 リーグにより感動を
7月19日に日立柏サッカー場で関東サッカーリーグが開催されたことは画期的な出来事だった。日頃はネーミングライツで「三協フロンテア柏スタジアム」を名乗り、Jリーグ・柏レイソルの公式戦を開催する由緒正しいフットボール専用スタジアム。観戦環境としては最高の舞台装置であるこの通称「日立台」で、同スタジアムに自社広告看板を掲出する日立ビルシステムが、サッカー部のホームゲームを実施。選手たちはレイソルカラーと同一色のホーム用ユニフォームをまとい、躍動した。

日立柏サッカー場で開催された関東リーグ。
「東邦チタニウムさん、ウチと、関東リーグで企業チームが少ないなかで、頑張らないといけない想いがある」
こう語るのは新任の関東リーグ第5代理事長でもある日立ビルの佐野元康GMだ。日立ビルが10チーム中9位の降格圏で迎えた関東リーグ2部第11節。前節終了時点で3位と、上位につけるエスペランサSCが相手であり、舞台に不足はなかった。それどころか苦戦が予想される対戦だったが、蓋を開けてみれば日立ビルの徹底した守備が上回り、稀に見る激戦を制しての快勝。Jリーグ並みの運営がスタンドを盛り上げ、選手たちの熱い闘志を引き出していた。
佐野GMは試合後「内容より結果が必要な試合だった。イベントもあったし、会社の、400人以上の方が来てくれて、選手は最後の笛まで足を止めずに闘ってくれたと思う。ほっとしている、というのが正直な気持ち」と、安堵の表情を見せた。
日立ビルの本社、そして柏統括営業所など関東支社を挙げての「日立集中応援DAY」。サッカーを通して社員に元気、活力を与えたいという趣旨の、福利厚生の位置づけでの催し。前年までは西が丘のホームゲームだった。
「今回は柏レイソルさんのご厚意でここを使わせていただいて、関東リーグには18シーズンいるが、初めて開催する。エスコートキッズの入場も初めて。運営に関しては、日立のイベント関連の部署と連携した。サッカー部だけではこういうことはできない」(佐野GM)
スタジアムDJも用意し、よい雰囲気だった。15時キックオフで暑熱は厳しかったが、それを緩和する努力も怠っていなかった。ヨーヨー釣りやキックターゲットなどのイベントを体育館内でおこない、そこでドリンクを配布、試合開始まで涼んでもらう。「スタジアムのピッチでやりたかったが、暑さもあり、体育館のほうが冷房が効いていていいだろうということで、ああいうイベントにした。ここは体育館が隣接していてよかった。選手もしかり、お客さんの安全を確保しながら、リーグの価値を高められれば」
ヨーロッパを見れば5部、6部のリーグでも、それぞれのクラブが街の話題となり、選手が人々によく話しかけられ、スタンドが大勢の観衆で賑わうことが日常となっている。そのようにサッカーが根ざしていない日本でも、社会人のカテゴリーにいながらにして、すばらしい内容のフットボールをたくさんの人々が楽しむ光景が当たり前になってほしいものだが、その可能性をこの日の日立台は示した。
「関東リーグの試合をより一人でも多くの方に観ていただいて、感動を与えられるリーグになれば」と、佐野GM。様々な背景を持つ選手、多様な形態のクラブが集い、プロではないにもかかわらず、魅力的なフットボールを展開し、人々がそれを喜ぶ。そういう独自の価値を示す存在に関東リーグがなりつつあることを示すかのような時間が、柏の聖地に流れていた。
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