五十嵐新、勝利導く殊勲の2ゴール
写真:先制ゴールを蹴り込む日立ビルの五十嵐新。(写真:小林渓太)
関東2部日立ビルシステム 2-1 エスペランサ
日立ビルシステム史上初となる日立台でのホーム公式戦を決着させたのはキャプテンのMF梅原と副キャプテンのMF五十嵐新だった。サッカー部集中応援日の一戦として開催された7月19日の関東サッカーリーグ2部第11節エスペランサSC戦は途中まで1-1。互いに譲らぬ気配が漂ったところの後半10分、梅原が倒されて得たフリーキックを自ら蹴ると、この精度の高いボールに飛び込んでいったのは、先制点となる1点目も決めていた五十嵐新。いいタイミングで軌道に入り、美しいヘディングシュートを突き刺した。
「相手がその直前に退場したというのもあったし、間もなく自分が交替するというのもわかっていたので、ここで結果を残せたらと思っていた。味方にもよくあそこを狙っていること、そこに走っていることは伝えていたので、信じて走ったらいいボールが来た」
五十嵐新はこう語った。エスペランサのDFデイビッソンがニアで弾こうという構え。あえてその前に入り込み、梅原の速いボールを叩き込もうという作戦が功を奏した。
1点目は利き足と逆の右足弾
判断のすばらしさは1点目の場面にもあった。右サイドからの攻略が効き始めていた前半19分、右スローインからの一次攻撃は弾かれたが、二次攻撃の浮き球が落ち、こぼれたところを、利き足と逆の右足でダイレクトに叩くとこのボールがネットに突き刺さった。
「左足を振ろうと思っていたが、少し角度がなく右足を選んだ。バウンドに合わせる、その空間に余裕があり、頭の中がクリアだったことがよかったと思う。相手がブロックしているのが見え、プレッシャーに来ないとわかったので、冷静に相手のコースに蹴り込もう、と。それがいいところに当たって入ってくれた」
豪快なシュートには強さが感じられたが、力任せに蹴ったわけではない。枠外に吹かしてしまうことがないようにと、抑えたシュートを心がけ、インパクトだけを意識した結果だった。利き足ではないほうの右足で力が抜けていたことも、正確さに作用。このゴラッソが、日立ビルの社員や地域の人々が詰めかけた場内全体を「いける」という空気にさせ、選手たちの士気を高めた。価値あるゴールだった。
2点ともセットプレー絡みだが、これは狙い通りでもある。
「ウチとしては、セットプレーは強み。3バック、5バックで守っていて、前に出てチャンスをつくる場面が少なくなる分、セットプレーの一つひとつを大事にしている。そこから獲れたのはチームとしても大きいと思う」
5レーンを埋めた状態で前向きにボールを奪い、そのまま前進して相手陣でセットプレーを獲得。そこを起点にゴール前に入れていったボールを仕留められればベストという構図に見える日立ビルのやり方が、2-3-2-3気味のエスペランサに対するかみ合わせとしても嵌まった感はあるが、高い守備意欲と日立台で絶対に負けられないというメンタルが、勝利に必要な得点を生んでいたことは確かだ。
もっとも、スタジアムDJも入るJリーグさながらの環境は日立ビルだけでなくエスペランサの力も引き出していた。審判が仲裁や注意に奔走する場面も目についたが、それは互いに負けたくない気持ちが強かったことのあらわれなのかもしれない。
「エスペランサさんも激しく来るチームで、そこは事前にみんなとも話していた。ただ、ぼくらには勝負に対するこだわりがあるし、ウチも関東リーグに長くいて、落ちてはいけないというプライドもある。そこで相手のペースに持っていかれるのではなく、自分たちのやるべきことをしっかりやろうということを90分通してできた試合だったと思う」
この1勝で関東2部残留に向け、大きく前進したことになるが、そこに留まらないどん欲さで日立ビルはさらに上を狙っている。
「ありがたいことに上とも勝点差が詰まっていて、昇格も全然見えないわけではない。そこもしっかり視野に入れつつ、あまり下を見ずに、上に食らいついていくという気持ちでやっていきたい。今シーズンは連勝がまだない。やっぱり連勝しないと上がっていけないので、次につながる勝利にしたいと思う」
残り7試合で2位の栃木シティフットボールクラブU-25と勝点6差は十分に逆転可能な範疇。8月の中断期間前、最後の試合となる1週間後の次節・tonan前橋戦に向け、五十嵐新ら日立ビルの選手たちは気持ちを高めていた。
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