終了間際の大逆転劇 その背景に昨年の涙
写真:後半ロスタイムにPKを決めるEDOのMF吉田。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東大会1回戦:EDO 2-1 品川CC横浜>
SHIBUYAと対戦した昨年の準々決勝では、試合終了間際、後半アディショナルタイムの失点によってPK戦にもつれ込むことなく姿を消した。そうした関東社会人サッカー大会の怖さを知るEDOだからこそ、諦めることなく最後まで得点を狙い続け、そして品川CC横浜に勝った。
「去年の苦い経験があったので、それを経験している選手たちが今日ピッチに立ってプレーしてくれていたこと、彼らの存在というのも大きかったと思う。そこに新しく今年から入ってきた選手たちの力が融合して、本当にすばらしいチームに仕上がりかけてきている結果が、今日の最後の逆転だったのかなと」
和田監督はこう語った。昨年の敗因となった失点は後半50分だった。今回の1回戦では先制点を品川CCに許しながら、後半47分と後半51分、4分間の2得点で大逆転劇を演じた。反省が最初の試合で活かされ、昨年の悔し涙がここにつながった。
後半28分にセットプレーで失点してから、EDOは落ち着いてなすべきことをなした。ベンチは早め、早めに交代選手を送り出す。ピッチ上の選手たちは闇雲に蹴って走ることなく、ゴールキーパーからしっかりとしたフィードを送り、そのセカンドボールを回収し、秩序だって攻め続けた。悪天候によるピッチコンディション不良のため地上戦のパスワーク中心というわけにはいかなかったが、意図のある正確なプレーを継続していた。相手に押し込まれ、時間を使われても、焦ることなく自分たちが攻めるターンを待ち、その攻撃機会を大事にしたことがチャンスを生んだ。
「前半の入りからたくさんチャンスをつくっていたし、後半もたくさんチャンスをつくっていた。点が入るのは時間の問題かな、と……残り15分、20分でも全然慌てることなく自分たちのサッカーをやろうって話は前からしていたし、選手たちもその通り、中で慌てずにやり続けてくれた。その結果かなと思う」
押し込んだ結果、自分たちのスローインになり、そこでのロングスローが2ゴールに結びついた。相手陣にボールを送れば何かを起こせるという確信がEDOにはあった。
「今年はセットプレーにかなり力を入れて、10種類以上のコーナーキック、フリーキックを持っている。そこに対する自信はもちろんあったし、ロングスローを投げられる松田麗矢(サイドバック)という武器を使わない理由はない。最後にいい形で、いい場所でセットプレーがあった。彼のロングスローに感謝したい」
必然の2ゴール。前半45分間も、自陣で不用意にボールを持たず相手陣へとボールを遠ざけ、そしてスペースを衝いていくプレーを高い精度で遂行していた。先制点を許しはしたが、ゲーム内容で見れば、むしろ正当なご褒美が最後に転がり込んだ印象すらある。
「本来、ぼくらはボールを動かして、パスワークでしっかり相手を崩すというサッカーをずっとやってきた。でも当日のピッチコンディションを見てやるサッカーを変えるということは今日の朝のミーティングでもしたし、直前のミーティングで本田(圭佑)と話をして『サッカーを変えよう』と。その変更に対して選手たちが戦術理解をしっかりしてくれて、パフォーマンスをしっかり出してくれた結果。対応力、柔軟性をすごく評価したい」
小机の準決勝まであと1勝。「昨シーズンはここ(準々決勝)で負けているので、もう1個壁をしっかり破って、神奈川ラウンドに戻りたい」という和田監督。一回り大きくなったEDOが、悲願達成に向け突き進む。
【後藤勝】
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