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写真:武蔵野 石村監督。(横河電機グラウンドクラブハウスにて)

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JFL横河武蔵野 石村監督「アマチュアクラブとしてトップ目指す」

写真:武蔵野 石村監督。(横河電機グラウンドクラブハウスにて)

 昨季は13位という成績で辛うじてJFL残留を果たした武蔵野。今季はチーム名を東京武蔵野ユナイテッドFCから9年ぶりに「横河武蔵野FC」に復して、従来の完全なるアマチュアクラブとして再スタートを切る。指揮官として2季目となる石村監督に、昨季の振り返りと今季の目標、意気込みを聞いた。

石村俊浩(いしむら・としひろ)

55歳・山口県出身。長くクラブ下部組織の横河武蔵野FC U-15、U-18などの監督を務め、アカデミー統括も歴任。2022年にトップチームのヘッドコーチに就任し、23年から監督に就任。今季は監督として2シーズン目となる。日本サッカー協会A級ライセンス保持。

アマチュアクラブとしての在り方追求
今季は総勢38人で臨む

── 昨季はリーグ最終節で残留を決めて15チーム中13位という成績で終えた。改めて昨季を振り返ると。

「去年はシーズン前に(関東1部・東京ユナイテッドとの)提携を終えて、もう一度単独でチームをつくることになり、現場においても運営面においてもぎりぎりのところからスタートした。退団した選手は少なかったが、一方で新しい選手をあまり獲得できず、プラスアルファとなる戦略・強化を進められない中で開幕を迎えた。自分たちがテーマに掲げている『ボールを握りながら勝負を決めていく』というベースで始めてはみたものの、最初は中位にいながら、夏場を迎えたあたりからケガ人が出たり研究されたりで勝てなくなった。

 途中、4-4-2から3-4-2-1という新しいシステム、勝ち点を取りに行く戦術を試したりもしたが、すぐに結果に結びつくわけでもなく、選手もストレスを抱えながら気がつけば降格圏まで落ちてしまった。最下位の沖縄SVさんもリーグ終盤にかけて調子を上げて全然負けなかったので、そのストレスもあった。でも、選手たちと何度も会話をしながら最後の3試合くらいは内容的にもだいぶ安定して戦えたし、選手たちも雨降って地固まるではないが、終盤はたくましくなって最終節の沖縄さんに1-0としっかり勝って終われた。成績はさんたんたるものだったが、長い目でみれば限られた選手層の中で、色々なことにチャレンジしながらこのリーグに残れたことは非常にプラスになったと思う」

── 今季もJFLというステージで再チャレンジできる。どんなチャレンジをするために、どんな補強、体制を整えたか。

「まず方針という部分では、外向けにも出したが、チーム名を東京武蔵野ユナイテッドFCから元々の『横河武蔵野FC』に戻し、完全なアマチュアクラブに振り切ることにした。アカデミーからすべて一貫し、もう一度すべて同じ名前でピラミッドを作って、地域に根差してうちができるJFLの在り方みたいなものを追求していこうと。プロの選手は1人もいないが、仕事をしながらでもそれなりにポテンシャルのある選手を集めて、アマチュアのトップレベルを目指す。そこをひとつ固めた。

 幸い去年の選手もほとんど残ってくれて、今回の方針にも賛同してくれている。そこに今回はセレクションでポジション別にいい選手が取れて、組織面もしっかりと強化できた。特に大きかったのはアカデミー出身の阿部拓馬(36)が加わったこと。彼はキャリアの晩年にはなるが、最後はアカデミーでお世話になった横河武蔵野に還元したいと言ってくれて、お互いの考えがうまく合致した。選手は総勢38人とおそらくサッカークラブでは多い方だと思うが、今回の方針に沿った選手が集まってくれた」

── チーム名が「横河武蔵野FC」に戻ったことで、より選手に求めるものはあるか。

「選手だけでなく僕らの方にも迷いがなくなった。選手たちにはアマチュアなんだからまずは仕事をきちんとやりなさいというのもそうだし、先日の試合はうちのアンダー15の選手たちがボールボーイをやってくれたが、彼らの前で試合をやるということの意味。『やはりトップチームはすごいな』、『トップのサッカーは面白いな』とか、とにかく見られているという自覚を持って立ち振る舞ってほしいと試合前に伝えた。実際、トップチーム以外はずっと『横河武蔵野FC』でやっていたし、もう一度名前を一つにしてやっていくという意味では象徴的だったのかなと思う」

写真:指揮官としてJFL2季目に挑む石村監督。

指揮官としてJFL2季目に挑む石村監督。

── 今季は比較的、地域リーグからの選手を新たに獲得した印象がある。カテゴリーとしてはひとつ下になるが、そういった選手を取る理由、狙いは。

「地域チャンピオンズリーグなどのスカウティングはそれなりにしていて、そのカテゴリーの選手がセレクションに来てくれた。ある程度レベルはわかっていたし、実際にセレクションで一緒にやってみた時に、僕らがやりたいことをピッチで表現できるレベルにあるという感覚だった。あとは練習や試合を重ねていけば上乗せできるだろうと思ったし、それほど迷いはなかった。実際、2人くらいは開幕からスタメンで使っているし、こちらが思い描いたものを表現してくれている」

── 地域リーグでプレーしている選手にとって、彼らが活躍することは励みになる。

「僕らはJFL優勝、アマチュアトップを目指しているし、天皇杯出場も目指している。このチームに入ればもう一つ鍛えられて、選手として成長してステップアップしていけるかもしれない。それはクラブとしての狙いでもあるので、うちが励みになるような存在になれればすごく嬉しい」

── 監督自身が指導者として大切にしているものは。

「僕自身はアカデミーの指導もずっとやっていて、横河自体の考えもそうだとは思うが、とにかく基本技術をつけるのは当たり前の話として、『判断してサッカーをしてほしい』と常に言っている。それは、すごく先の話になるが、歳をとってもサッカーが楽しめるというのが奥底にある。走れなくなったらサッカーができないではなくて、ボールを持っている時、持っていない時、常に自分で見て判断してこれが最適なんだと身につけておく。結局はゴールを守って、ゴールを奪うのがサッカー。すごくシンプルだが、そういうことを植え付けられたらいいと思っている」

── サッカーは色々な状況があるだけに、最適な判断という技術を伝えることは難しい。

「そこは非常に難しい。ゴールを奪うということを一つとっても、手数をかけてもいいからやるのか、シンプルに攻めるのか。今はシンプルに速く攻めるのがトレンドだとは思うが、ベースとしてはゴールを奪う、守るがすべてというところから、どの最適な方法を取るかを判断させている。今のトップチームも基本はそこをコンセプトにしているし、まず『ダイレクトにゴールを狙う選択はないか?』ということを常に問いかけながら、シュートがないからスルーパス、スルーパスがないからサイドに振る、バックパスになる。でもバックパスをしたら、またそこから前に行く選択はないか、その連続性。ボールを持ちながらも危険なところを常に狙えているか、もしくはボールを取られないためのポゼッションをしているのか。もちろんそこは選手の質、時代のサッカーのトレンドによって多少考え方は変わってくるとは思うが、根本的なところはボールを支配してサッカーも勝ちたいというのが自分の哲学として変わらずある」

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