三菱養和、貴重な金星 早大ア式を完封
写真:前半に先制ゴールを決める三菱養和の引間。(写真:小林渓太)
開幕戦に3失点で敗れた三菱養和SCが、7得点の勝利で発進していた早稲田大学ア式蹴球部FCにクリーンシートでの大金星を挙げた。早大ア式が苦手とするナイトゲーム、涼しい気候で体力の差が縮まったなど環境の要因もあるが、基本的には養和が戦術をしっかりと準備してきたことの賜物だった。
東京1部三菱養和 1-0 早大ア式FC
サイド封じ、引間の一撃 早大破る
古巣に恩返し、後藤京介のコーチング
以前とは見違えるように組織としてまとまり隙がないフットボール。その中心にいたのは、昨年までJFLの横河武蔵野FCで活躍していたMF後藤だった。ワンプレーごとに短い言葉で適切な指示を送ると、チームメイトが素直に従い間髪入れずに呼応する。自らはアンカーの位置に下がっての球出しのほか、様々な場所に顔を出して攻守に貢献。黒子として振る舞っていた。
早大ア式の戦い方はトップチームと同様。ウイングに起点をつくるサイド攻撃は超がつくほど強力だが、早大出身でJリーガーの西堂久俊(レノファ山口)もそうであるように左利きの選手を右サイドに置くなどやり方が明確であるだけに対策を講じやすい。後藤によれば選手たちはみな映像で観た時のイメージを浮かべてこの試合に臨んだという。早い段階でサイドの起点を潰し、自陣にサイドから進入された場合にもセンターバックが初期ポジションを捨てて急行し、クロスを上げさせない。マイボールの時は相手がハイプレスに来ていれば無理せずやり直し、ボールを循環させる。
先制点にして決勝点もその動きから生まれた。右サイドでプレスに来た相手に対し、ボールを戻して引き込む格好。そして外回しで左サイドに行き渡らせると、早大ア式のプレッシャーが弱くなっている外のレーンを10番MF引間が背後へと抜け出し、ゴールネットを揺らした。後半は反撃に出る早大ア式に対し、構えて守る時間帯が大半となったが、アディショナルタイムを含む50分間を耐え抜くと、最後は後藤とFW小口の武蔵野コンビでコーナーキープ。完封で試合を終えた。
JリーグとJFLで活動してきた後藤にとり、人工芝での公式戦は専修大学以来。ほの昏い明るさのナイトゲームにも慣れていないが、都リーグデビューを果たした開幕戦でそこもフィットした。最近は漆間総監督や先輩たちの厚意で全体練習のメニューも後藤が考えてよいことになり、それに応えて選手たちは練習でもよく走るという。それが90分間をやりきる体力の源ともなった。持てるすべてを還元してもぎ獲った1勝だった。
「開幕戦で負けて、それを修正できた。みんな熱い気持ちで取り組んでいたと思う。漆間(総監督)さんも『初めて早稲田に勝った』と言っていたが、よい勝利だったと思う。ぼく個人としては、早稲田大学とは横河でよく練習試合をしていたので一定のイメージを持っていたし、大学時代まで遡っても負けた記憶がない。自信を持って臨み、新1年生の多いチームに対して駆け引きで優位に立てた。あとは2点目を獲れていれば完璧だったが、そこは勝って修正していくのもアリだと思う」(後藤)
人工芝で肉体的な負担は大きいが、そうした都リーグ感にもアジャストしてサッカーを楽しめているという。早稲田のようにしっかりとサッカーをしてくるチームのほうが嵌めやすいという体感も得た。なにより、危機感が漂う古巣に尽くしたいという想いが闘う原動力となっている。伝統ある三菱養和SCユースが東京都リーグに降格し、このままでは風前の灯となりかねない。
「サッカーをやめようかとも思ったが、ユースは都リーグのレベルにいてはいけないチーム。そこを社会人から盛り上げたいという想いもあり養和に戻った。最近は登録外のOBも練習に来てくれて、25人くらいの人数で雰囲気も変わってきている。そういうところで手伝えているのかな、と。漆間さんの力になりたいと思う」
次年度のトップリーグ(仮称)、実質1部に残留するためにも10位以内はマストの目標。ユースの選手たちにも良い影響を及ぼし、養和というクラブを盛り上げるべく、強豪を相手に貴重な今シーズンの初勝利だった。
東京都社会人サッカーリーグ1部





