日大N. 大学生らしからぬ大人のウノゼロ勝利 エリースとの直接対決制す
写真:残留を争うエリースとの直接対決を制した日大N.(右側)。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:日本大学N. 1-0 エリース豊島>
MF中川の先制点活かし、冷静な試合運び
残り3節を迎えての関東サッカーリーグ1部の残留争い直接対決は日本大学N.の勝利に終わった。この試合の分岐点は明確にふたつ。前半32分に日大MF中川が先制点を決めたことで試合の流れが決まり、後半22分にエリース豊島FCのMF小川が二枚目のイエローカードで退場したことにより勝敗がほぼ決した。
日大の金澤監督によれば、いま選手たちは相手を見てサッカーをすることを覚えている段階。自分たちの素の力をぶつけて勝つことで昇格を繰り返してきた日大だが、関東1部以上の社会人上位カテゴリーでの闘いを見据え、ただ勝点という結果を得るだけでなく、今後につながる内容を実践しながら勝とうとしている。
その意味では、この日の日大は大人のサッカーで3ポイントを獲得するという、実りある試合をしたことになる。いいプレーをたくさん見せたい、たくさん点を獲りたいという欲を抑え、先制点を挙げたあとはゲームのスピードや熱量を上げずぎないようコントロールし、いわゆる“塩漬け”にしてのウノゼロ勝利を狙った。この試合運びを殊勲のMF中川は「勝つためのサッカーをした」と表現した。
「なんとしても勝点3が必要な試合だったので、1点を守る、先制後の失点しない試合運びは本当に良かったと思う。勝つためのサッカーというか、きれいなサッカーではなく泥臭く勝ってでも勝点をと、そういうことをチームで話し合いながらやっていた」
自分たちが攻め込みすぎると相手のカウンターを招き、自分たちの攻撃が鋭いと相手のリアクションも鋭くなる。ボールを相手陣に運んだら攻め急ぐことなく時間を費やし、相手の良い状態での反撃を防止する。そういうリズムで試合が進んでいった。
「2点目を早く獲ることが出来れば一番良かったが、それを狙ってカウンターを喰らい勝点を失うのはもったいない。そういうことも含めて、今日は負けない試合の運び方がうまく出来たと思う。サッカーは相手がいるスポーツなので、それに対応して常に相手よりも優位な状況に立てるようゲームを進めていくのが大事なこと。今日は勝てたが、その点に関してはまだまだこれから。チームとしても個人としてももっと成長していくべきだと思う」
金澤監督が掲げる意図を汲み、中川はこう振り返った。残留争いでナーバスになり、時にボールパーソンに対して声を荒げるようなこともあったエリースに対し、ホームでの試合ということもあってか日大の選手たちは落ち着いていた。ジャッジを含め「文句を言っても、結局はやるしかない。今日は自分たちのほうが落ち着いてサッカーを出来たと思う」と中川が言うとおりの内容だった。
先制点かつ決勝点となったゴールは、クロスを狙ったキックをミスした結果枠内に入ってしまった、俗に言う“シュータリング”。事故的な得点ではあった。しかしエリースが最大の抵抗をして防ごうとするほどの正確なサイド攻撃を日大が何度も仕掛けていたからこそ、ミスで予想外の軌道を描いたボールにエリースの選手たちが反応出来なかったわけで、実力と関係ない偶然というわけでもない。「仕掛ける回数の多さが幸運につながった」と中川が言うように、幸運を呼び込むだけの努力が日大の選手たちにはあった。
「今日勝ったことでほぼ残留は決まったと思うが、あと2試合、先を見据えた試合が出来ればと思う」、と中川。勝ってなお慢心せず前向きに転がろうとする姿勢に、勝利の原動力が垣間見えた。
(後藤勝)
関東サッカーリーグ
