篠原、値千金の同点ゴール
写真:同点ゴールを決めて笑顔を見せる篠原。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:エリース東京 3-3 ジョイフル本田つくば>
前半27分に先制を許したエリースだったが、その後FWソンが2得点。前半のうちに逆転し、後半に入っていた。
しかし好事魔多し。勝利に近づくムードが高まっての後半、攻勢を強めたつくばに先に2点を決められ、一転して2-3の1点ビハインドとなった。ここで輝いたのが、後半19分から途中出場していたMF篠原だった。前方にスペースがある状況で2列目からタテに抜け出し、貴重な同点ゴールを決めた。
「ぼくはそんな点獲るタイプでもないので、セカンドボールを拾って2次攻撃につなげて、前線の選手の手助けになればいいなと思っていたら、ちょうどいいところにこぼれてきた。もう少し低い位置からクロスのこぼれを拾ってサイドに展開してとなりそうなところ、けっこうゴールに近いほうの手前でこぼれたので、もう『だったら行くしかないな』と」
前方にはフィニッシャーとなるべき3トップが見当たらずスペースが空いている状況。ボランチの篠原が自ら行くしかなかった。
この状況判断も豊富な経験のなせる業なのかもしれない。レノファ山口FC、藤枝MYFC、ヴェルスパ大分の在籍で大卒後8シーズンのキャリアを誇り、ベテランと言っていい領域に入ってきた身。その視点から、現在のエリースが抱える弱みを次のように感じていた。
「勝負弱い。ゴール前での勝負弱さ、攻撃もそうだが、守備も含めて。リーグ首位のVONDSで言うと、逆にそこだけが特化している。ゴール前を堅くして、獲るべきところでしっかり点を獲るということは徹底されている。そういうところには、しっかり盗んで学ぶべきものがあると思う」
篠原が決めてこの日の3点目となったが、それ以外にもチャンス、あるいはチャンスになりそうな場面は多くあった。いい内容のフットボールで得点機を作ることは出来ていても、それを決めきって得点を増やす、その得点を無駄にしないよう失点を減らすという部分では、エリースにはまだまだ足りないものがある。篠原が言うように、VONDS市原FCが持っているものを獲得することは、現在のエリースにとって重要なことだ。
「本当にもう勝点3を重ねるしか、残留に向けた道筋はない。自力はもうないので、まず現状で言うと失点を減らすことが一番。チームとしてどこで身体を張るのか。今日もいい守備が出来ていたけど、ゴール前で身体を張れなくて3失点。そういうことがずっと続いてきているシーズンなので、そこは自分も経験を伝えながら、勝ち点3につながるようなチームとしての戦い方を徹底出来るようにしたい。巧い選手は揃っているので、あとは戦い方の問題なのかな、と」
紡ぎ出される言葉は熱かった。この高い熱量をもってすれば、観ていておもしろいだけでなく、強いチームへとエリースを進化させていくことも夢ではないはず。次節以降の成長に期待したい。
(後藤勝)
関東サッカーリーグ