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写真:前半にゴールを狙う新宿のFW菊谷。(写真:小林渓太)

日本フットボールリーグ(JFL)ニュース

生まれ変わった新宿 前向きのプレーで開幕戦勝利

写真:前半にゴールを狙う新宿のFW菊谷。(写真:小林渓太)

JFLクリアソン新宿 1-0 横河武蔵野

後藤 勝

8月29日に第28回日本フットボールリーグ(JFL)が開幕。Jリーグとタイミングを合わせての秋春制への移行で人々の耳目を集める中、30日の味の素フィールド西が丘でおこなわれた第1節ではクリアソン新宿と横河武蔵野FCの東京勢対決が実現し、ホームの新宿が1-0の勝利を収めた。衝撃的だった6月3日の北嶋秀朗前監督との契約解除から3カ月、生まれ変わった姿を見せようと覚悟を決めて臨んだ紫軍団の船出だった。

前半は武蔵野が主導権を握り、新宿のシュートは公式記録上わずかに2本。しかしこの45分間を無失点で切り抜けたことが、後半の勝ち筋へとつながった。

後半17分、新宿の3枚替えからゲームの画はガラリと変わった。途中出場したDF吉田、MF瀬川、FW岡本の果敢なランニングでそれまでとの運動量の落差が生じ、流動性が出てきた新宿を武蔵野の選手たちが掴みにくくなる。やむをえず自陣に下がりスペースを埋めて構える武蔵野陣内に新宿の選手たちが突撃を繰り返すと、得点は時間の問題だった。

後半34分、FW和田のシュートのこぼれ球にキャプテンのMF島田が詰めたシュートがついにネットを揺らす。好セーブで繰り返しチームの危機を救ってきた武蔵野のGK末次も、このすばやい連続シュートには対応しきれなかった。当初は一人ずつの交代を考えていた成山監督が「戦力の逐次投入は愚策」という定石を思い起こし、プランを変えた結果だった。

この後半17分以降の戦いぶりを端的に総括すれば「前向き」「前選択」ということになる。保持というよりは前に向かいながら人とボールが動いていく。天皇杯2回戦横浜FC戦でのMF前澤のゴールも前向きの動きが5人の間で4本つながった結果だった。そしてこれは新チームがフットボール面の指針として意図したもの。「前にプレーしようということはずっと言ってきた」と、成山監督。チーム全体に浸透させた意識があらわれた。

「JFLで4年半を過ごさせてもらい、どの試合もタフになるということと、抜けているチームがなく走ったり戦ったりということがベースにないとやっていけないリーグだということに気づかせてもらっている。そういうところは準備して臨んでいるつもり」

監督交代が「変わろう」という強力なメッセージに

開幕前にはラグビーの試合を選手たちに見せて「公式戦ではこのくらい闘わなくてはいけない」と、準備をさせたという。そうした開幕戦に向けた意識付けもあったが、より根本のところでは、監督交代そのものが選手たちに対してメンタルの改革を促す強いメッセージになっていたと成山監督は言う。

「そもそも変わるということがあまりないクラブだったので、それを選択したことに大きなメッセージが込められている。変化するんだというメッセージを無駄にしないで、北嶋前監督が大事にやっていたことも引き継がせてもらいながらも、ただ、そのままモノマネをしても北嶋さん以下にしかならないと思っていたので、その決断の勢いに乗ってサッカーのところでは『前にプレーする』ということを押した」

もちろん、選手たちはこの変化をしっかりと意識していた。決勝点となったこの日唯一のゴールをマークしたキャプテン島田は「クラブとしてすごく大きな痛みを伴った決断をしたと思う」と、その重みを受け止めつつ、天皇杯にもあらわれていた新しい戦い方を次のように表現した。

「(JFL CUPの)ハーフシーズンまでは、ボールを握るところとか、ゲームコントロールするところに関してすごく良くなってきた部分はあったけれど、なかなかゴールを決め切れない、勝ち切れないというところで課題が残った。今はよりゴールに向かうとか、ゴールを守るとか、サッカーの本質的なところをみんなで追求しながらやろうとしていて、その中で今までよりも速く、前にというところが強調されていると思う」

天皇杯1回戦の流通経済大学戦のように、後半になって勢いづきスーパーなゴールを決めて勝利を収めるという光景が、この大事な開幕戦でも繰り広げられた。「今シーズンはプレシーズンから自分も含めて誰がピッチに立つかわからないような競争をしている。昨年までは後半にトーンダウンしてみたいな試合が多かったが、今シーズンは天皇杯の流経大や横浜FCの試合も含め、後半でもう一回パワーを出せて、交代選手もすごく力になってる」と、島田。タフなチームへと成長しつつある。

「今が完成形じゃなくて、どんどん、どんどん成長して強くなりながら、最後に優勝できるように、そういうマインドでやれたらいいなと思う」

次節以降に向け、島田はこう語った。開幕戦で目標としていたのは4-0での勝利であり、1得点は物足りない。開幕戦の結果を糧としつつも、この日の後半の内容を前半から遂行しての複数得点での勝利をめざし、新宿はさらなる成長を志していく。

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