東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:準決勝進出を決めたSHIBUYAの増嶋監督と選手たち。

関東社会人サッカー大会ニュース

黙して見守る増嶋スタイル 選手への信頼が勝利に

写真:準決勝進出を決めたSHIBUYAの増嶋監督と選手たち。

MATCH REPORT後藤 勝

<関東大会準々決勝:EDO 0-1 SHIBUYA>

 不思議というべきなのか、それとも必然だったのか。関東社会人サッカー大会の1回戦と準々決勝、SHIBUYA CITY FCは二日間とも後半アディショナルタイムの決勝ゴールで勝利を収めた。

 1回戦の越谷FC相手にも、準々決勝のEDO ALL UNITED相手にも、SHIBUYAは圧倒的にボールを支配した。しかし90分間が過ぎてもいっこうにゴールは決まらず、スコアは動かない。もどかしい試合展開だが、ピッチサイドに立つ増嶋竜也監督は、選手交代以外ではいたずらに動かず、戦況を冷静に見つめていた。

 シーズン中のEDOはカウンターまたは相手を引き込んでからの速攻を得意としている。奪って攻めるスタイルだけに、ボールを保持してパスをつないでくるSHIBUYAは恰好の餌食のはずだったが、この11月5日の準々決勝では自陣で攻めてくるSHIBUYAからボールを奪っても即時奪回され、あるいは減速させられてカウンター攻撃に転じることが出来ず、90分間を通してほぼ完全に沈黙した。

「相手は5-4のブロックを作って6番の選手(瀬戸)がカウンター。ビルドアップになったら変則的に4バックになる形も全部把握した上で、中盤ハーフラインでしっかりボールをつなぎながら、角を取りに行く。自分たちがいままでやってきたことをやりながら相手のストロングのポイントを消すということは、ほぼパーフェクトに出来たのではないかな、と。試合を通してもほぼ危ないシーンがなかったので、選手たちはミーティング通りによくやってくれたと思う」

ラストワンプレーで鈴木が決勝点 SHIBUYA準決勝へ

 ゲーム内容は増嶋監督が言うようにほぼパーフェクト。しかしラストワンプレーのフリーキックで決着するまで、気が気ではない状況ではあった。

「昨日(1回戦)もそうだが、さすがにPKが脳裏をよぎった。よぎったけれども、やっぱり選手は諦めずに、戦い方を変えずに、地味な作業だが相手を走らせて、間でボールを奪い、次いでフィニッシュまでというところを(継続して)やってくれたからファールをもらえて。自分たちのストロングなセットプレーで点を獲れた。本当にいいシーンがたくさん出たので、楽しかった」

 奇を衒(てら)うことなく、平素鍛えた地力をベースに、対戦相手に準備したものをぶつけていく。試合中、変に動くことなくピッチ内を見守る姿に、選手たちへの信頼がにじんでいた。

「いちいち喋ってとかはなく、狙い通りの90分だった。昨日も少し話したが、自分たちがやろうとしたこと、ミーティングで話したことを、本当に言った通りに、ちゃんとみんなが再現してくれた。怖さはもちろんあったけれども、自分たちのほうが明らかに勇気を持って、自信を持ってプレーしてくれていたのは、観ている人はみんな感じたと思う。本当によかった。難しさをひしひしと感じた2試合だったが、それ以上に選手たちの成長を毎試合ごとに感じる大会になっている。我ながらいいチームだと感じた二日間だった」

 これで昨年度に突破出来なかった準々決勝の壁を乗り越えて準決勝進出決定。2週間後には関東サッカーリーグ2部昇格を決める大事な試合がスケジューリングされた。クラブの歴史を塗り替えるまであと1試合。着実につくり上げてきた今年のチームの力に疑いの余地はない。この最初の2日間に向けてそうしてきたように、増嶋監督率いるSHIBUYAはここからの2週間もしっかりと心身を整え、決勝進出のための戦い方を刷り込んでいく。

大会日程・結果/トーナメント表

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