東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:東京カップを制し今季リーグ戦に臨む南葛SC。

 

COLUMN

南葛、夢実現へ描く成長プラン 岩本GMに聞く(下)

|後藤勝

写真:今季は風間新監督のもとであらたなスタートを切った南葛SC。

40人体制の意味

 風間監督はどのようにチームづくりを進めているのだろうか。

「チーム全体というよりも、一人ひとりが伸びたら勝つという考え方。東京カップの段階では練習で出来ているものを試合に出してないが、ただ、明らかに違いは出てきている。しかしここから関東1部でも圧勝するレベルにどれだけの期間で行くのかは、正直なところやってみなきゃわからない。でも、圧勝する試合は今シーズンから出るんじゃないかなと思っている。そんなに全部簡単にいくとは思っていないんで、全然うまくいかなくて負ける試合もあると思うが、ただ、嵌まった時にはむちゃくちゃ点が入るだろうなと。それは感じる」

 今シーズンの南葛は40人体制の大所帯。あとから追加で補強をするのではなく、風間式を習得した選手を自前で育て、多くの選手をプールし、そこから調子のいい選手をピックアップするという発想に思える。

「だから今年、Jからひとりも獲っていない。なんならほぼ大学生で、社会人から来た選手がふたり、昨年から参加しているブラジル人がひとり。既存の選手も引退、退団した選手以外は全員残し、25人を残して15人入れた。風間さんはすごく明確で、自分のもとで毎日練習していれば絶対伸びると。それは既存の選手も含めてだが、仕込んでいくなら若い選手のほうがいいという部分はあったので新加入は若い選手にしたけれども、これまで歴史を築いてきた選手にもチャンスを絶対やりたいという話を風間さんにしてもらったので、希望者は全員残すという形にした」

 選手には「巧くなりたい」という気持ちがあり、風間監督の招聘を知り、残留を決断した者もいるという。大前元紀もそのひとりだ。そうして精鋭が残ると、今後、補強をする選手も風間式に適合する資質を持っていないと苦労することになりそうだが、強化の観点ではどのような選手獲得をおこなっていくことになるのだろうか。

写真:南葛で2年目をむかえる大前元紀。

南葛で2年目をむかえる大前元紀。

「まさに風間さんが言っていたことが、試合に出ていなくても、今年1年一緒に自分たちとやって、風間さんの指導を受けた選手の力が、他から来る選手より低いわけないということ。そう考えると、来年は多分ほとんど獲らないんじゃないかと風間さんは言っていた。ポジション的なバランスを考えてピンポイントで獲ったりするとは思うが……あとは試合に絡めず、他に行きたくなった選手に関しては、他に出すしかなく、その抜けた分は獲得するかもしれない」

 その追加の獲得にしても、風間式を経験している選手を狙ったほうが、加入後、フィットに要する時間が少なくて済む。今後、どういった選手が風間監督を慕いやってくるかも楽しみなところだ。

 チーム力の強化については自信をのぞかせていた岩本GMだが、関東リーグ1部、そして地域CLを楽観視しているわけではない。むしろこの過程の困難さはシビアに認識している。

「地域リーグ1部は9地域を合わせると80チーム。そこから(JFLに)1チームないしは2チームしか上がれないとなると、運の要素が多くなる。地域チャンピオンズリーグの6試合だったら、1個負けたらアウト。事業規模とスタジアムも含めて関東1部ではちょっと特殊な存在だった栃木シティでも6年かかったというのはけっこう恐ろしい」

 JFLにJリーグ昇格候補が集まることで、関東サッカーリーグ1部のレベルも高いほうに煮詰まり、もちろん全国地域サッカーチャンピオンズリーグ突破にも確実性を見いだしにくく、このカテゴリーのリーグ戦とプレーオフは明確にボトルネックになってしまっている。この狭き門を南葛がどうくぐり抜けるのか。風間監督を招聘しての意欲あふれるチャレンジが、とてつもなく熱い。
(了)

南葛、夢実現へ描く成長プラン 岩本GMに聞く(上)
南葛、夢実現へ描く成長プラン 岩本GMに聞く(下)

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