東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:前半にゴールを決めて祝福されるFW大前(中央)。

関東リーグニュース

楽しいサッカーで大前1G1A 理想は「キャプテン翼」

写真:前半にゴールを決めて祝福されるFW大前(中央)。

MATCH REPORT後藤 勝

<関東1部:南葛SC 2-0 東京ユナイテッド>

 キャプテン翼の小学生たちのように、大人が楽しそうにサッカーをしているように見えた──と伝えると、1ゴール1アシストで勝利の立役者となったFW大前はこう言った。「まあ、それが理想じゃないか。『キャプテン翼』が軸というか主にあるチームなので、観ていて楽しい、やっていて楽しいサッカーというのが、綺麗事かもしれないけど、それが一番だと思う」

 これを生み出しているのは、『キャプテン翼』のサッカー観と合致する「止めて運ぶ」指導をする風間監督。そのおかげで、選手の誰もが「ボールはともだち」と思いながらドリブルで運び、あるいはパスを出し、ボールを受けているように映った。「(指導に)『止めて運ぶ』という言葉がけっこうある。前が空いていたら運ぶというのは、以前もぼくのサッカー観にあったはあったけど、より意識は増えた」

 風間監督と出会う前のプレーは、基本的にはワンタッチ、ツータッチでボールを離すもの。「止めて運ぶ」プレーがなかったわけではなかったが、それを基軸に据えたり、強く意識することはなかった。風間監督に教えてもらうことによって選択肢が増え、34歳となったいまでも、まだまだサッカー選手として伸びしろがあると感じているという。

「風間さんが『楽しんでやる』というのは常に言っている。それを体現出来れば観ている人も楽しめると思うし、やっている人がつまらないサッカーをしていたら、観に来てくれている人もたぶんおもしろくないと思うので、ぼくらがまず、先にね、楽しめるサッカーをこれからもしていければいい」

 PKの際にはペナルティスポットの真ん中にボールを置かなければいけないという現行のルール適用を把握せず、いつものペナルティスポットに少しかかるところに置いてのキックとは異なる感覚に戸惑って「4~5センチの差かなと思う」ズレで前半20分にPK失敗。左ポストに当ててしまった。しかし前半32分、MF佐々木のクロスを大前が頭に当て、右ポストを叩いてゴールイン。相手GKがボールに触れないプレーで先制弾を決めると、後半26分には左コーナーキックを蹴ってDF柳のゴールをアシスト。PK失敗を帳消しにして余りある活躍だった。

 大前は今シーズンの初ゴールを「(佐々木)達也に試合の途中、途中で『速いタイミングで上げてくれ』と言っていた。いいボールをしっかりと合わせられてよかった」と、喜んだ。そのゴールに飽き足らず、2点目を獲りに行った。

【写真】大前のゴールをアシストする佐々木。

「2点目もそうだし3点目も4点目もそう、風間さんのサッカーは点を獲って勝つというのを求めているので、2-0でも少ないくらいかなと。ゼロで抑えられたのはチームとしてよかったと思う。速く攻撃してより速くゴールまでというのが理想だが、ああやって引いてくる相手にはなかなか速い攻撃は難しい。それでもセンタリングだったりPKを獲ったシーンだったり、進入していくところはだんだん出来てきていると思う。それが得点につながればもっと自信になって、よくなっていくんじゃないかなと」

【写真】チームの2点目を決めた柳裕元とアシストした大前。

 いままで教わってきたことがないようなことを風間監督から吸収してやっていければ、もっと幅は拡がる──と、大前。大卒の若手だけでなくベテランも磨き直され進化を止めないことが、南葛の強さを支え、可能性を拡げている。

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