エリース 試合巧者VONDSに完敗 早い失点プラン狂う
写真:前半からVONDSの固い守備に苦しんだエリース。写真はFW濱口(左)。
MATCH REPORT後藤 勝
<関東1部:エリース東京 0-2 VONDS市原>
4月10日の社会人代表決定戦から中三日、関東リーグ1部最強クラスのVONDS市原を迎えたエリース東京FCが無得点で敗れた。これでリーグ戦は2連敗。エリースを率いる山口監督は「今後は優勝候補だとは見られないので、どの対戦相手も自信を持ってくる。そういうチームに対して勝ちの流れをつくるのはすごく大変」と、苦慮していた。
前半のVONDSはオーソドックスな4-4-2で自陣低めの位置に構え、最終ラインと中盤ラインの間を狭め、エリースの進入を許そうとしなかった。そこで攻めあぐむことは想定の範囲内。相手が引いたところで手前からのミドルシュート、また高い位置で自分たちが起点をつくれた場合は相手最終ラインとゴールキーパーの間を衝くサイド攻撃と、出来る手は尽くしていた。
問題は前半17分の失点。3枚のディフェンスが揃ってはいたが、間を衝かれ、コースが空いたところで冷静にシュートを決められた。「もともとやろうとしていた状態とちがう配置になったときに、人数は揃っていても瞬間で判断出来ずあれだけ簡単に失点してしまうと厳しい」と、山口監督。この時点で敗戦を覚悟した。
なぜかと言えば、VONDSは地域リーグでは突出したフィジカルを持ち、クロスを容易に跳ね返せるような屈強な男を揃えている。1点を獲ってしまえば、あとは守備に時間を費やしてゲームを眠らせ、そのままタイムアップの笛を聞くというコントロールが出来る。「その狙いはわかっているので、前半は何がなんでも失点しないということを念頭に臨んだが、あれだけ簡単に失点してしまうと、よほどクオリティで上回らなければこちらは勝てない」(山口監督)
後半は、本来はウイングの長谷川を1トップに入れて前からプレッシャーに行き相手が保持する時間を減らしながら自分たちがボールを保持してゲームを進めようと修正を図りはした。しかし指揮官が言うようにクオリティが足りなかったからなのか、ボールを動かせてもゴール前でのイベントを起こせず、一瞬のチャンスを待っていたVONDSに追加点を決められ、敗戦の時を迎えた。
タレントの質に関して言えば、相手陣に分け入って得点を奪うという点では松岡や三枝の欠場、途中から主将の篠原が負傷で退いたことが響いたところはあるが、ベテランの村田は「一人ひとりの試合に勝とうという姿勢や、相手に対して自分をいい選手に見せなきゃいけないというところが足りなかった」と、自分たちに矢印を向けて反省した。
試合巧者のVONDSに、彼らの意図通りにゲームを進められてしまった恰好の敗戦。いまだ勝利がないが「まずは1勝。それをどこで獲れるか。次で獲らないといけないが、しっかり休んで準備をして、早く流れを取り戻さないとずるずる行くだろうなと感じている」と危機感を強める山口監督の言葉どおり、リーグ戦の流れを考えても、次はまず1勝というその初勝利の重要性がより増すような、2敗目となる強敵相手の敗戦だった。
関東サッカーリーグ