東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:国民体育大会・関東予選で東京選抜を率いた福田監督。

国民体育大会ニュース

東京選抜 福田監督インタビュー 大会を終えて(上)

写真:国民体育大会・関東予選で東京選抜を率いた福田監督。

 8月に国民体育大会・関東予選(成年)に臨んだ東京選抜は1回戦で神奈川に2-1で勝利したものの、翌日の茨城との代表決定戦は1-1で迎えたPK戦で4-5で敗れ、5年ぶりの本大会出場を逃した。近年は、各クラブがケガのリスクやチーム力低下を理由に主力選手を国体チームに派遣しない傾向があり、選手集め、チーム作りが難しい状況にある。そういった中で予選を率いた福田雅監督に今回の選手選定基準やチーム作り、今後の国体チームの在り方について話を聞いた。


今は関東、都リーグの選手共存が難しい
今年の編成が現実的

── 関東予選は代表決定戦で敗れて本大会出場を果たせなかった。改めて今は結果をどう受け止めているか。

「勝負は時の運だし、決して負けるべくして負けたかというとそうでもなくて、勝っていてもおかしくなかったと思う。もちろん組み合わせや日程的に厳しかったのは事実で、あの暑い時期(8月)に自分たちは2日連続の試合で、代表決定戦の相手の茨城は初日。しかも大学生。ただ、そういったマイナスの要素を抜きにしても勝っても、負けてもおかしくなかった。それこそ、われわれは合宿までやらせてもらったわけで、『これじゃ負けるのは仕方がない』という環境ではなかったと思う」

── そうすると敗因はどんなところにあったと。

「監督の采配・人選の問題はもちろんある。ただ、これも難しくて、関東リーグの各チームからきちんと選手を出してもらえたら勝てたかというと正直それもわからない。与えられた条件の中ではベストの人選だったと思うし、準備のところでの敗因というのはそんなに見当たらない。スタッフも相応のスタッフが来てくれて、フットボールのオーガナイズという意味では山口遼(ヘッドコーチ)がやってくれたし、GKコーチも林晋太郎がいて、揃えられるべきものは揃えた。あとはもう試合の相手との関係の中での敗因だけかなと。あの代表決定戦に関しては、やっている選手たちのクオリティ、活動量を考えると、大学生を相手にPK戦に持ち込むのが精一杯だったのかなとも思う」

── 今回、関東リーグのクラブからはほとんど選手を派遣してもらえなかった。東京ユナイテッド、エリースからは何人か出たが、それも主力選手ではなかった。そういった状況については。

「僕はクラブを持っている側だから、気持ちはよくわかる。特にプロ選手を抱えて昇格を目指しているチームからすると、お金もかかっているし、選手がケガをするリスクもある。それに国体予選が行われる8月中旬はリーグ戦の中断期間で、チームとしてもリーグ終盤に向けて最後の強化・結束をはかる時期。そのタイミングに選手を国体に持っていかれる、さらにケガのリスクも考えると、正直メリットはない。だから僕はそこは理解できる。

 そんな中でも今回、エリースが出してくれた。ここ何年かは、選手を派遣してくれていなかったが、監督の山口遼を国体のヘッドコーチに引っ張ってきて、クラブの代表にも直接お願いをして、そこで言われたのが『選手の試合出場機会を与える強化の場としてだったら構わない』ということ。山口もプロ監督なので、当然結果を出さなくてはいけない中で主力選手がケガをさせられたらたまったもんじゃない。『福田さん、出せるとしたらメンバー外の選手、もしくは試合に出たり出なかったりの選手だけですよ』と明確に言ってきた。

 ただ今回、ラッキーだった点は、そこにDF長井(エリース)というベテランの社会人フットボーラーがいたこと。彼を出してくれるということが、僕にとってはありがたかった。彼みたいな社会人サッカーに熱い想いを持ったベテラン選手と、各チームでブレイクスルー出来ていない若手選手たちの強化の場というのはフィットするなと思った。ベテランの背中を見せることで、若い選手たちに『なにチームでくすぶってんだ、お前ら本当にあいつらと同じくらいサッカーと向き合えているのか』ということを見せるいい機会になると思った。

 そういう意味では関東リーグから出してもらうにしても、何かが足りない選手のほうがいいし、都リーグの選手に関しては、関東リーグから呼ぶ選手にうまくフィットする選手、小松(東京海上)、堀田(東京海上)、廣澤(東蹴)をバイネームで呼んだ。もし、ここに関東リーグのバリバリ試合に出ている主力選手を連れてきたら、彼らとはフィットしないと思った。やはり関東のバリバリの主力が集まるなら、それなりに各チームから主力を出してもらった方がチームにフィットするし、機能する。そこで今回は東京ユナイテッドにしても、エリースにしても、まだ掴みきれていない選手を集めてチームを作る方針にした」

── 近年は選手派遣の問題にしても、国体の価値、位置づけが難しくなってきている。今は国体の活動意義をどう考えているか。

「ずっと言ってきていることだが、まずは社会人選手たちのコミュニティの場として機能させたい。練習会の段階から、最後に選ばれて本番で戦うまで。とにかく強い、勝つチームを編成するというよりかは、そのコミュニティに立脚して、その中で選ばれしものがきちんと責任とプライドを持って戦いに行く。本当に勝つことだけにこだわって強くしたかったら、それこそ無理に選抜チームにせず、東京ユナイテッドや東京23の単独チームで行ったほうがいい。その代わり国体の強化費をそのチームにあげましょうと。でも、東京はせっかくここまで選抜というものにこだわってきたのだから、その社会人たちのコミュニティとしても機能させた方がいいと思う」

── そういったコンセプトのもとで、今はメンバー選考含め、どんなチームづくりが現実的か。

「先ほども言ったように今は関東リーグや東京都リーグの選手たちを共存させるためには、今年の編成、レベル感で戦っていくしかないと思う。正直、関東1部などはセミプロリーグみたいなもので、同じ社会人でもサッカーにかけているものが違う。その中で今回選ばれた都リーグの選手たち、小松、堀田、廣澤にしても週末しか活動していない中で、あの強度を維持しているのは大したものだと思う。でも、彼らがギリギリ共存できるのは、関東1部のレギュラークラスではなくて、今回のレベルくらいの選手たちだと思う。もし、東京ユナイテッドや東京23のレギュラークラスを集めるなら、それこそJFLの選手も呼んで本当に強いチーム、同じレベルの選手たちが共存できるチームにしないといけない。もし、彼らが『ここでやる意味ある?』って感じてしまっては意味がないから。要するにレベル的には仕事を持ちながら関東リーグの強度にしがみついてやっている選手たちで、それ以上の選手たちを呼ぶとなると、だいぶコンセプトが変わってくると思う」

PR

PR

PAGE TOP

PR


TOP

PAGE TOP