選手層の厚みを増したクリアソンが3位浮上
初のナイトゲームでクリアソンは沖縄に勝利。©Criacao
MATCH REPORT後藤 勝
<JFL:クリアソン新宿 1-0 沖縄SV>
クラブ史上初のナイトゲーム開催となった7月23日のJFL第17節はクリアソン新宿が1-0で沖縄SVを下し、前節終了時の5位から3位に浮上。J3加盟圏を射程に捉えた。
5-4-1同士の陣形がマッチした前半、クリアソンは前からプレッシャーをかけることが出来ず、沖縄にピッチを広く使われ、チャンスをつくられ苦戦。攻撃面でもサイドや背後を衝くことが出来ず、やや劣勢の内容で最初の45分間を終えた。
そこで後半は全体をコンパクトにして構え、守備を安定させるとともに、ボランチをディフェンスラインに近づけてビルドアップも安定させた。また、この修正によって前にカウンターのスペースをも確保。前半は前からボールを奪いに行ってカウンター攻撃が出来るスペースを自ら失くしてしまっていたが、一定間隔で効果的なカウンター攻撃を繰り出せるようになった。
自分たちのペースで試合を運べるようになったクリアソンは83分に上田康太の美麗なスルーパスから背後に抜け出した齊藤和樹が正確無比のシュートでこのボールをネットに沈め、ついに待望の先制点。その後も強度高く守り続け、記念すべき節目の試合で完封勝利を収めた。
選手層が厚みを増したことも終盤の得点に結びついていた。今シーズンは先発の選手がサブに回り、サブの選手が先発になる逆転現象が多かったが、この試合では途中出場のMF池谷とMF上田でチャンスをつくり、齊藤の劇的なゴールを生んだ。
精神的支柱でもあるベテランのFW岡本とMF瀬川が退いた時間帯にテンションの高いプレーで勝利を収め、層が厚くなったのではないかと訊ねると、成山監督はこう選手たちを称賛した。
「大部分の選手がリーグ戦に出ていて選手層の厚みを感じていたところではあったが、ここまでの試合ではなかなか結果が出ていなかった。しかしベンチメンバーが『今日の試合は自分たちが流れを変えるんだ』と言い、 ベンチでも大声を出しつづけ、ピッチに入れば爆発させていた。スタメンの選手たちがベンチに戻って途中出場の選手たちの背中を押し、テンションが維持されるといういい循環にはつながっていると感じる」
思い通りにいかない試合でも勝利に持っていけるだけの戦術の幅と選手層の厚みがあると証明したクリアソン。もはやJリーグ加盟も夢ではないと言えるところにまで来たと感じさせる一戦だった。
(後藤勝)
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