東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:5点を奪う快勝を見せた南葛。写真はゴールを決めた佐々木。

東京都社会人サッカーチャンピオンシップニュース

春の腕試しは無限の伸びしろを感じさせる風間南葛に軍配

写真:5点を奪う快勝を見せた南葛。写真はゴールを決めた佐々木。

MATCH REPORT後藤 勝

<東京カップ2次戦決勝:エリース東京 2-5 南葛SC>

 関東リーグ1部同士の対戦となった東京カップ2次戦決勝は思わぬ大差がつき、南葛SCがエリース東京を5-2で下して初優勝。準決勝ではPK方式にもつれ込む苦戦を強いられた南葛が、4-1の勝利で突破した1回戦東京蹴球団戦の再来とばかり、複数得点をもぎ獲った。

 前半6分、相手のミスをかっさらい一気に攻め込んで、最後はFW奥原がエリースGK大畑の掴みきれなかったボールを押し込み先制。守備においても、エリースがボールを回して南葛陣内に進入しようとしてもアンカーのDFデイビッソンが引っ掛けて仕事をさせなかった。

 流れが変わったのは、そのデイビッソンが自陣でエリースのプレッシャーを受けて、ボールを奪われてから。数的には3対3だったが、後追いになっていたデイビッソンを除くと実質2対3で守備側の南葛が数的劣位。エリースに余裕でパスを回され、前半21分、FW松岡のゴールで同点に追いつかれた。その後もエリースが昨年1シーズンをかけて磨いてきたボール回しに翻弄され、28分にも松岡に決められて失点。エリース優勢のまま前半は終わった。

 しかし後半、南葛がボランチ2枚の3バックに立ち位置を変えると、チャンスが交互に、両クラブに訪れるようになる。後半10分、流れるようなパス回しでMF佐々木がポケットをとると、エリースはほぼ無抵抗のまま得点を許すしかなかった。「その人たちに合っているやり方をするので、いろいろなものを試している」(風間監督)という試行が功を奏した。

 このあと3回ほどあったチャンスを逃したエリースは焦りが出て、得意とする自分たちの戦い方を維持出来なくなってくる。その反対に、どんどんオープンになっていく後半、南葛の選手たちはのびのびと高い技量を発揮して3得点を加え、エリースの選手たちから反撃の機運をそぎ取った。

 時間帯によっては全盛期の川崎フロンターレを思わせる崩しも見られたこの日の戦いだったが、まだまだチームづくりのとば口に立ったばかり。「いま、持っている時間のなかでどれくらいの選手が出来るかを試してきている。その意味ではこの大会はよかった」と風間監督は述べ、選手のテスト、あるいはチームの腕試しとして手応えを感じている様子だった。

【ハイライト】エリース東京 2-5 南葛SC

 もっとも、中長期の視点では高い質を追い求めていく過程として、この試合はあくまでも成長途上だということを思わせる語録も飛び出した。

「技術の正確性を揃えているところなので、まだまだで。もちろんそれは『揃った』と言ってもまた変わっていくので、基準がね。だから、そこのところはずっとやり続ける。 前の試合ではよかったけれども今日だとまた足りなくなっているという選手もいるし、逆にそれを超えてきてる選手もいた。このサイクルがずっと続いていく。それがこのチームだと思う」

 前半の劣勢にも苦言を呈するでもなく、学びの機会と捉えていた。

「前半と後半で、選手がいろいろなことをわかればいいと思う。そういう意味ではすごく理解をした。自分たちの距離とはどういうものか、自分たちの時間とはどういうものか。それを最初から出た人、あとから出た人、あるいは観ている選手も全員が理解出来るようにしている。また次の週で変わってくるので、あまり気にしていない。試合自体は。前半のことは、後半が始まると関係ないでしょ。そういうこと。それをずっとやっていく」

 この、どこまでもフットボールを探求する姿勢が後半の逆転を呼び込んだのかもしれない。「この選手たちが望んだ分だけ巧くなっていくので、そこはずっと望ませたいと思う」と、風間監督。伸びしろが無限にあるのかと思わせる、強烈な初優勝だった。

南葛のスキルに驚かされたエリース、思わぬ大量失点

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