ZION、テコ入れも逃げ切れず 残り10分課題
写真:東京海上は終了間際に佐藤が逆転ゴールを決めた。
MATCH REPORT後藤 勝
<東京1部:東京海上 3-2 ZION>
開幕戦でアストラを相手に4-0の大勝で今シーズンをスタートしたZION。しかし、その後はまさかの5連敗。この流れを変えるべく、監督の倉下が肩書きを変えないまま追加選手登録をおこない、林代表がベンチから指揮を執る布陣で東京海上戦に臨んだ。
2枚看板である尹英勝と竹中に関してはけがの影響を考慮し、大事をとって先発を回避させるというハンデを負っていたものの、倉下は中盤でボールを落ち着かせるとともにキッカーとしても稼働して先制点をCKでアシスト。また、連敗中で沈みがちな選手たちを林代表が励まし、攻守に前を意識して仕掛けていく姿勢が発露。もともと技術や身体能力の高い選手たちが、その能力にふさわしい積極性を得てゲームを優位に運んだ。「今日はぼくがベンチで『前から、前から』と声をかけたが、その意識が選手たちに伝わり、けっこういいゲームが出来たのかなと思う」と、林代表も手応えを感じていた。
チームの2点目となった大音のゴールも、途中出場の竹中にボールを入れることで相手の最終ラインが下がらざるを得ず、ZIONが押し込んだ状況の時間帯に生まれたもので、ベンチワークもうまくいっていた。ところが、最後の10分間で自陣に押し込まれたまま跳ね返せず2失点で逆転負け。前節も23江戸川を相手に82分に失点を喫して敗れているように、終盤の弱さに課題を残した。
「80分までは自分たちのサッカーが出来たし、今季の中ではすごくいい80分間のゲーム運びが出来た。しかし残り10分のところでの相手のクオリティが上回り、それに対して守りきれなかった」(林代表)
90分間を通して安定したプレーをつづけ、ハードワークが出来る東京海上と、時間帯によって波があるZIONの差が出た結果。だが、言い方を変えれば問題点はそこに絞られるとも言える。
「完敗というわけではなく、ウチのいい試合が出来たが、負けは負けなので悔しい。全選手が前に、前に向いていたということもあり、決して東京海上相手に引いて守るかたちではなく、自分たちが勇気を持って行けた、その点はよかった」と、林代表。
林代表が指揮を執り、倉下監督がピッチに入る体制はひとまずこの一戦のためのもので、今後継続していくかは未定だが、ゲーム内容にはポジティブな部分が多かった。待望の2勝目まであと一歩のところまでは来ている。これ以上は負けられないという意地を見せ、奮起してほしいと思わされる激闘だった。
【後藤勝】
東京都社会人サッカーリーグ1部