東京サッカー [TOKYO FOOTBALL]

写真:OBと学生の混合で再スタートした今季のTUA。

東京都リーグニュース

TUAは今季からOB主体で再スタート

写真:OBと学生の混合で再スタートした今季のTUA。

OBを主体にしつつ現役学生との協同で相乗効果狙う
T.U.A.SCの新たな試み

  2020シーズンからの3年間を東京農業大学農友会サッカー部の現役チームで過ごしていたT.U.A.SCが、今年からは再びOB主体(現役学生含む)の社会人クラブチームとして東京都社会人リーグに参加している。

 その狙いを糸川主将に訊ねると「運営面を含めて社会人が学生に対して自分たちの経験を還元し、学生は(社会人リーグで得た)いい経験をチームに持ち帰る」とのことで、社会人リーグの場を有効活用したいという想いからの体制変更となったようだ。

 早稲田大学ア式蹴球部FCと対戦した1部開幕戦は2-2の引き分け。社会人が10人以上在籍し、そこに東京農業大学農友会サッカー部の学生が加わる編成で、この開幕戦に関しては3人の学生が参加していた。社会人選手に関しては学生時代の経歴はAチームからCチームまでとバラバラだが、いずれも社会人リーグでの経験を積んでいて実力的には他と伍してやっていける印象だ。

早大はTUAに追いつかれ2-2ドロー

 ただ、練習時間がない。学生と社会人の選手が一堂に会するのは試合当日のみで、グループLINEで連絡を取り合ってはいるが、コンディションは選手ごとにどうしてもバラけてしまう。ウォームアップにしてはやや実戦寄りの雰囲気があるボールポゼッションで連携の感覚を掴み、試合中にチームとして成長していくしかない。それでも1点をリードされた後半、死にものぐるいで追いつき、いいムードで試合を終えた。

 メンタルの強さで掴んだ引き分けの要因は何か。糸川主将はこう言った。
「自分も戦術をいろいろ伝えたいが、どうしても社会人と学生が集まる機会は試合当日しかなく、まずは一人ひとりがサッカーのベースとなる1対1で負けないことを追求していくことが、強豪相手にもいい試合が出来る要因だと思っている。特に戦術とかはなく、眼の前の試合に負けないということをやっている」

 メンバー不足が懸念され、実際にこの開幕戦もベンチメンバーが2名のみという“都リーグあるある”が発生してしまった。そして試合中の交代も、一回は負傷のアクシデントによるもの。こうしたアクシデントも覚悟して社会人リーグに参加し、この舞台で得られる体験を重要に捉えている。

「このチームを発足したうえでいちばん大切にしているのが、社会人は仕事もサッカーも全力でやる、学生は勉強も部活も全力でやるということ。どっちかに比重を置く、ではなく、やれることは全部やるという姿勢で取り組んでいる」(糸川主将)

 よくプロサッカーは狭き門といわれるが、社会人としてしっかりと仕事をしながらアマチュアクラブを運営し、競技レベルの公式戦への参加を中心とした週末のサッカー活動を生活のサイクルに組み込むことが出来る人々の数も限られている。その意味で、アマチュアフットボーラーとしての矜持も、その生活を楽しむ趣味人としての清々しさも感じられるチームカラーがTUAにはある。

 こうした集団が強豪大学の社会人クラブ部門であり、セカンドチーム的な存在である早稲田大学ア式蹴球部FCと熱戦を演じたことは痛快だった。

「最初は8-0くらいで負けると思っていた(笑)。実際、今日初めて会うメンバーばかりで、自分も社会人5年目。これだけ多くの人をマネジメントすることが初めての経験で、本当に手探りしながらやっていく状況なのだが……」(糸川主将) 

 自主独立のアマチュアクラブは、集う選手の自覚と責任感次第でチームがうまく成り立つか否かが決まる。その点、体制変更後、初の集合となったTUAの滑り出しは順調であるようだ。糸川主将が一手に担っている運営の仕事に関しても、今後、細部については役割を分担していく考えだという。

 OBを主体にしつつ現役学生との協同で相乗効果を得ようとするTUA。この新たな取り組みが、大学現役生チームが増えてきた都1部にどのような影響を及ぼしていくのか楽しみだ。
(後藤勝)

東京都社会人サッカーリーグ1部

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