写真：昇格を逃し肩を落とすVONDS（左）と残留を決めて喜ぶ沖縄（右）。

　来季の日本フットボールリーグ（JFL）残留・参入をかけたJFL・地域リーグ間の入れ替え戦が3日、沖縄県沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで行われ、JFL今季15位の沖縄SV（JFL／沖縄）が全国地域チャンピオンズリーグ2位で初のJFL入りを目指したVONDS市原（関東／千葉）を延長戦の末に2－1で退け、残留を果たした。

　今回の入れ替え戦は1回戦制で、90分で決着がつかない場合は15分ハーフの延長戦を行い、なお決しない場合はPK戦で勝者を決める方式。0－0で迎えた70分に沖縄は安在和樹が先制点を奪ったが、VONDSも譲らず78分に途中出場の土佐陸翼が決めて同点。90分で決着がつかずに1－1のまま延長戦に突入すると、延長前半終了間際、沖縄は荒井秀賀のスルーパスから伊集院雷が決勝ゴールを決めて逃げ切った。

VONDS堅守に綻び 疲労隠せず延長で敗れる

　2017年に地域CL3位でJFL昇格をあと一歩のところで逃したVONDS。あれから6年、再び目の前にチャンスが訪れたがまたしてもつかめなかった。

　この試合を最後に現役を退くFW高原を要する沖縄にポゼッションを譲りながらも前半を0－0で折り返した時点で、後半勝負のVONDSには勝算がありに見えた。だが、自慢の堅守に綻びが生じたのが70分。沖縄が右サイドから放り込んだクロスを一番奥のファーサイドで久富が胸トラップで処理。だが、わずかに身体から離れたボールを背後から迫った沖縄の安在に奪われて、そのまま蹴り込まれた。

　それでも、VONDSも直後にピッチに入ったFW加藤が前線で起点となり、中澤の浮き球のラストパスを途中出場の土佐がダイレクトで蹴り入れて同点。布監督の失点直後の強気の交代策、VONDSの点を取りに行く姿勢がすぐにゴールに直結した。あとは90分以内に次の決勝点を奪えれば。

　だが、90分で決着がつかずに延長戦に突入すると、じりじりと疲労の色が濃く出はじめたVONDS。先週、死力を尽くした地域CL決勝ラウンド3連戦、さらに沖縄への移動。監督は「負け惜しみになってしまうので言いたくなかったが、正直かなり厳しい日程で、この1週間は選手の回復にしかあてられなかった。実際、強行出場の選手も多かった」と唇をかんだ。

　迎えた延長前半終了間際、自陣左サイドでボールを奪ったSB吉田がそのまま攻め上がったが、直後に奪われて逆にショートカウンターを食らうと、守備陣形が整いきる前に沖縄の伊集院に蹴り込まれた。この日、一度は先制されながらも追いつく底力を見せたVONDSだったが、さすがに2度追いつく力は残っておらずそのままタイムアップ。初のJFL昇格まであと一歩に迫りながら延長戦で力尽き、またしても来季の関東1部残留が決まった。

【写真】引き上げる選手たちとタッチをかわす布監督。

VONDS・布監督の話
「選手たちは攻守に100%、120％で戦ってくれたと思う。VONDSはまだ新しいクラブ。選手には変に暗くなるのではなくて、プレイヤー、アスリートとして選手生活が終わったわけでもないし、次の一歩をすぐに踏み出していこうと伝えた。VONDSは攻守にハードワークするチーム。それを地域CL、この入れ替え戦まで含めてやり切るメンタリティー、フィジカル的な部分も含めてチームを編成していくことが大事。あとはボールのロスを少なくするためにも自分たちの技術をあげて、ボールを持つ時間を長くして、自分たちが主導でゲームを進められるようにしていかなくてはいけない」

・主将のCB渡辺「僕らの力が足りなかった」